2015年7月28日火曜日

少子化と若年労働者の完全雇用

日本の人口は1億2000万人くらいであるが、今後少しずつ人口が減少する事ははっきりしている。一方、生産人口とと言われる15-60歳の人口はより急速に減少している。若者の誕生する人口が少なくなっているからだ。1歳あたりの人口でも、現在60歳では200万人であるのに、現在15歳では120万人となっているからだ。

これを消費と生産の関係に置き換えれば、消費は全体の人口に比例するので減り方は緩やかに、生産は労働人口に比例するとすれば生産能力は急速に減少するであろう。

人口変化と生産性の関係を少し考えてみる。労働者が確かに減少するが、生産設備は変わらないでは無いか? と思うが、設備が幾らあってもそれを使える人がいなければ設備は有休資産となってしまう。またサービス業のように、機械に置き換えれ無い商品もあり、全体として需要に対して供給が先細りになりかね無い。

次のような事が考えられ無いだろうか?
若年労働者は人手不足でほぼ完全雇用に近くなる。給与水準は高めにならざるを得無い。生産に占める賃金コストが高くなり、労働者の生産性の向上が必須となる。
これは二つの意味がある、(1)商品のコストのうち賃金部分が相対的に高くなるので、労働生産性を上げる事でコストを引き下げる。(2)一人で多くの生産設備を支えて、設備稼働率を上げて、労働人口の減少を補う生産性の向上を実現する。

一方生産現場と言う視点では二つある、一つは有形のモノを作る工場や農業漁業、もう一つは無形のモノを作る知識産業。日本では有形のモノの生産性はかなり高まっているが、知識生産性、オフィスの生産性は極めて低いと言われている。


今後鍵となるのはこのオフィスの生産性向上、言い換えると知的生産性の向上、サービスの生産性の向上が鍵となるように思われる。具体的にはコミュニケーション能力の向上、プレゼンテーション能力の向上、アイデアを視覚化して大勢のアイデアを統合する技術の向上などが望まれるのでは無いでしょうか。

現在、スペインやイタリアの若年労働者の失業率は数十パーセント、米国においても20%くらいと言われている。世界がそのようだからといって、日本の若年労働者を失業させたり、派遣採用して労働生産性を低いままにしていたら、日本の将来は極めて危うい状態になる事は論を待た無い。

ヤル気を高める法

ヤル気の重要性は誰しも認識している。組織に於ける生産性、販売現場での消費者の購買意欲を高める、人へ意向を伝えるコミュニケーション、学校における生徒の学習意欲の向上など。凡そ人間の活動に関する殆どが相手のヤル気を掻き立てる事で成果を上げているように思える。

相手のヤル気を引き立てるのに、多くのケースではどのような方法を使っているだろうか?

自分が思うに一番使われているのが『お金』を使う方法だと思われる。
「お安くします」「割引します」「お小遣いをあげよう」「プレゼントしよう」「ボーナスを出そう」などなど。

現実にはなかなか、この方法では効果が上がらない事も多い、例えば学校に於ける学習意欲の向上にはお金は使えない。

実務の世界では、ヤル気を引き出す具体的な方法は、多くの場合個人の経験と才覚に任されており、余り組織的な研究はなされていない。

ヤル気を引き出す事に最も近い科学に「モチベーション学」と言うのがあるが、これによると人が最もヤル気「モチベーション」が高まるのにはタイプとして4つあるようだ。
「達成動機」「権力動機」「親和動機」「回避動機」
この4つのうち強く響くものが有ってそれがその人の固有の動機付けになると言うことだ。



当然これらの動機を刺戟するものはお金だけでは無い、研究によるとお金を出す事でヤル気を阻害する事も有ると言う。

2015年7月17日金曜日

63年で平均寿命が30年も伸びる国、日本

1950年生まれの人の誕生した時の平均寿命は60歳(59.57歳)、それから60年経過した2010年では平均寿命は80歳(79.55歳)。


私は以前から1950年の平均寿命は第二次大戦の影響があって一時的に平均寿命が短いと思っていました。ところが最近入手した日本の第一回生命表(1890年)から最新の第21回生命表(2010年)の寿命の推移を見ると、1890年から1947年までの57年間では平均寿命は43歳から50歳までと緩やかに上昇するに対し、1947年から2010年までの63年間では一気に50歳から80歳と一気に30歳も平均寿命が延びているのである。



どんな影響が考えられるのか?

1.      老人、老齢、老後の概念が曖昧になりつつある。
老人という概念は今の60代にとっては、自分が子供の頃との比較で認知するだろうけど、記憶での60代と現在の自分と比べると圧倒的に今の自分が若く感じて、意識のギャップがあるのは間違いない。自分を年寄り扱いでき無い自分がいる人もいる。また一方では自分の過去のイメージに従って現在の自分を老人とみなす人もいよう。

では周囲の人間はどうか? いまの20代は現在見ている60代が自分にとっての60代である、元気な60代が増えれば増えるほど、60代はまだ若いと認識するだろう。そして自分のライフプランも現実に合わせたものを作っていくであろう。

2 退職と老後
定年というのは昭和40年頃まで55歳であった、その頃の平均寿命は65歳から70歳へ移行する時期であった。その時代であれば退職後のいわゆる老後は10年少々であった。 現在は多くの企業で定年は60歳、雇用延長法の適用があって65歳まで仕事ができるとはいうもの、いわゆる老後は15年から20年。

厚生年金の積立不足問題も、企業年金問題も、更には健康保険問題も制度の設計がこの古い平均寿命を前提にしている事に起因しているのでは無いか。